【HSP/HSS型HSP】HSPとASD(発達障害)との違いとは?混在する事はあるの?

~より生きやすい毎日のために~

「大人の発達障害」という言葉を耳にするようになって久しくなりました。
一方で、「HSP」もしっかり世間には根付いてきているように感じます。

そんな中、「自分はどっちなの?」
「そういえば、両方の性質を持ってることってあるの?」

そんな疑問を頂く事も増えました。

今回はそんな疑問にお答えしてゆきます。

同じところ、違うところ、混在することがあるかについてお伝えすると同時に、そこからくる生きづらさへの対処法へもお伝えしてゆきます。私はHSPやASDでもないよ、という方でも、考え方や感じ方に似たような部分があるかもしれません。目を通して頂いて、参考になれば幸いです。
※尚、ここではの「大人の発達障害」には、グレーゾーンやアスペルガー症候群も含めるものとします。

又、衝動的に行動してしまうHSS型HSPさんとADHDさんの違いについては、以前こちらのブログで解説しております。よろしければ参考になさって下さいね。

同じところ

まずは、簡単に同じところ、違うところがあるかの表を見てみましょう。
もちろん、個人差があることですので、すべての人に当てはまるわけではない、ということをご了承下さいね。
また、当てはまったとしても程度にはやはり個人差があります。

表を見ると、3つの共通点がある事に気付きます。

まず、人づきあいは基本的に苦手です。(理由は異なりますので、その点は後程解説しますね。)
また、どちらも環境の変化はあまり好みません。
感覚もとても敏感なのも共通しています。例えば、聴覚なら大きな音に敏感なかたもいらっしゃいますし、皮膚感覚が敏感で「洋服のタグがチクチクして気になる!」という方もいらっしゃいますね。
(もちろん、HSPでもASDでなくても、気になる人は気になると思います。)

この3つの点にご自身が当てはまった時、いったい自分はどっちなの?と不安になった方もいらっしゃるかもしれません。

また、両者に共通しているのが「生きづらさにつながる」という点です。
人が生きていく以上、対人関係から免れる事は難しいものです。この点で疲れを感じやすかったり、苦手意識を感じていると、大なり小なり、日々ストレスを積み重ねてしまいます。
適度なストレス発散方法や困りごとへの対処法を身につけておかないと、心身症やうつ病などの2次障害へ発展する可能性があります。

HSPであること、ASDである事そのものより、生きづらい事や、2次障害へのリスクが高い事が問題と言えるでしょう。(逆に言うと、日々のストレスへの対処法を知っていたり、周囲が理解のある方で囲まれていれば、HSPやASDであっても、自分らしく生き生きとした毎日を送る事が出来ます。)

違うところ

 

最も異なる点としては、
HSPは「気質」、ASDは「障害」と区別されている点です。
HSPは気質であるため、病院で診断が下りる事はありません。一方、ASDに関しては明確な診断基準があるため、病院で診断がおります。

次に、先ほどの表に挙げた違いを見てみましょう。
その場の空気(雰囲気)に関して、HSPさんはそこまで!?というくらい気を配ります。意識して気を配っている、というよりは、気が付いてしまい、気になってしまう、と言った方が正しいかもしれません。気が付いたことに対して相手に配慮しているうちに、自分の事がおろそかになり、すっかり疲れてしまいます。
それでも、その気づきや配慮については周囲からは「そんなに考えなくてもいいのに」「普通そこまで気づかないよ」などと理解が得られず、更に辛くなってしまいます。

一方のASDの方は、あまり周りの空気(雰囲気)は分かりません。学校や職場で「誰々さんは○○さんが好きなのでは?」と多くの人がうすうす感づいている、というような場面でも、ASDの方はさっぱり気が付いていない、という事もあります。場合によっては、場の雰囲気がピリピリしていたり、他のメンバーが怒りや悲しみに満ちた気持ちの時に、気づかずにその場にそぐわない発言をしてしまう事があります。本人に全く悪気はないので、後で怒られたりしても、「よく分からない理由で怒られた」という嫌な気持ちになってしまいます。

もう1点。
場の雰囲気とも似ていますが、他者の気持ちに対してです。
HSPさんは、相手の表情がちょっと変わっただけでも、とても敏感に反応します。相手の表情が曇った場合は、相手の気持ちを損なったのでは?と不安になり、ご自身を責めてしまう場合も多くあります。
また、自分以外の誰かが起こられていても、まるで自分が怒られているかの様に感じてしまう、というご相談も多く受けます。他者の気持ちを想像したり感じ取ったりするのは素敵な感性ですが、ダメージを受ける事も多く、複数人の居る場所にいた後は、ぐったり疲れてしまいます。

対して、ASDの方はあまり他人の気持ちは気になりません。「こんなことを言ったら傷つくかも」とあらかじめ考えることが少なく、例えば体重の増加を気にしている方に「最近太りましたね」などとはっきりと伝えてしまい、相手が気分を害しているのにそれに気が付かない、といったケースがあります。
本人としては事実を言ったまでなので、何の悪気はないですし、特性なので仕方のない事です。しかし、ご本人がそういう特性を持っている、と知らない相手からは「失礼だ」とみなされたりして、結果的に人間関係で(周囲と距離を置かれたり、など)損をすることがあります。

まとめていうならば、「非言語的」なコミュニケーションに非常に長けているのがHSP、ちょっと難しいのがASDという事になります。(ASDの方は非言語のコミュニケーション能力はHSPさんにはかないませんが、好きな事への集中力などは抜群の力量を発揮します。得意な事も色々ありますので、安心して下さいね。)

混在する事はあるの?

さて。
異なる点を見ていると、両者が混在する事なんてありえないのでは?と思われる方も多いと思います。
実は、先ほど述べたように「気質」と「障害」なので、混在する(つまり、1人の人がASDでありながらHSP気質でもある)ということはあり得ます。

例えば、ASDの特性がすこしあり、HSPの特性がやや強め、という方がいたとします。
この場合によくある例として、こんなケースがあります。

ASDの特性が出て、相手の気に障る事(又は場違いな事)を言ってしまったが、HSPの特性から、その後相手が傷ついた事や、場の空気が凍り付いた事には気づいてしまう。

何やら自分が相手を傷つけたり誰かの気分を損なう発言をしたらしいが、それが何故なのかまでは分からない・・・。
なんだかよく分からないけど、どうやら自分の事を周りが怒っている、という事は感じ取ってしまう・・・。

これはとても辛い事です。

また、ASDの特徴が少しでHSPの特徴が大きい場合、

●1度相手に不愉快な思いをさせると、過去にも何か相手に対して失礼な事をしてしまったのでは?と考え続け、辛くなってしまう。

●ASD特有の自分なりのこだわりを持ってはいるが、同じ過ちを繰り返さないようにと、相手に合わせてばかりで疲れ切ってしまったり、本来の自分とはどういうものかが分からなくなってしまう

こんな辛さが出てくるケースも見られます。
こうなると、気質や障害を持っている事よりも、そこから派生した生きづらさの方がずっと大きくなってしまいます。

参考~ASDの2つのタイプ~

ところで。
ASDの原因は脳の扁桃体の周辺があまり発達していない事にあります。
(扁桃体は主に情動(感情)に関連する器官で相手の感情を理解することに関係があります。)

この発達の遅れには2パターンあります。

他人の感情を理解するよりも自分の感情が優先されるタイプ。
他人の内面を推測する働きが弱く、共感性が乏しいタイプです。自分の気持ちはしっかりと大切にします。

こちらのタイプは、他人の気持ちを理解するのは不得手ですが、学校や職場で他人の振る舞いをみて、自分がどう行動すればよいか、しっかり観察して真似る事が出来、社会に適応しているように見えます。
しかし、公の場では無理をして自分を抑えているため、プライベートでは自己本位に横柄な振舞をすることがあります。近年問題になっているカサンドラ症候群において、加害者の立場になり得るタイプですが、自覚がない為周囲が対応に困ってしまうタイプです。
(※カサンドラ症候群については、後日別記事で解説しますね。)

自分の感情の理解よりも、他人の感情への理解が優先されるタイプ。
他人の目が気になって仕方がないため、自分の感情を表に出すことが極端に少ないタイプです。
(他人の目が気になる事と、他人の言葉に表されない感情や気分を感じ取れるかは別物です。そこに辛さがあるとも言えるでしょう。)

常に他人に合わせ、過度に自分の意見を抑えています。
嫌な事を嫌、と伝えることが出来ず、好まないことも引き受けてしまいます。
表面上は問題ない対人関係を築いているように見えても、実は「本当の気持ちを押さえつけて、他人に合わせ続けている」為、相当なストレスを抱え込んでいます。

先に挙げたカサンドラ症候群においては「被害者」の立場になりやすいタイプです。
自信をもっと大切に思ってよいのに・・・と周囲は歯がゆい思いで忠告する事もありますが、本人の価値基準はあくまでも「自分ではなくて他者」であるため、なかなかカサンドラの状態から抜け出せません。

さて。上記2パターンのうち、②に注目して頂きたいのですが・・・
HSPさんで、「これ、私!」と思った方も多いのではないでしょうか?
普段の生活において、相当しんどいケースだと思います。
この②のケースとHSPが混在した場合、どれほど対人関係が疲れるか、HSPでない方でも察しが付くかと思います。

では、どうすれば生きやすくなるのか?

 

ここまで、HSPさんとASDの方の共通点、異なる点、混在するケース(とASDの2つのパターンについて)を見てきました。
どちらも、症状が大きくなると生きづらい、という点では共通しています。
そして、私見ではありますが、HSPかASDかという症状名より、それぞれの方の生きづらさが一番の問題だと思います。

では、どうしたら生きやすくなるのでしょうか?
1つ目は、周囲の人の理解です。
HSPさんなら気が付きすぎてしまう、ASDさんなら気が付かない、この事をご自身の「個性」や「性質」として周りの方々が理解してくれていれば、あらぬ誤解もないでしょうし、疲れた時に共感を得る事も出来るでしょう。直接知り合いの方に話すのがはばかられるのであれば、お住まいの市町村の相談センターで理解してくれそうな場を探すのもありです。もちろん、カウンセラーもその中に入ります。

2つ目は、ご自身での理解です。
「辛い」という事はきっと嫌という程感じていらっしゃるでしょう。
しかし、その「辛さ」の原因はどこにあるのか、具体的にどういった事が原因なのか、出来れば紙に書くなどして(頭の中で考えているよりは、客観視しやすくなります。)掘り下げて行ってみましょう。
原因が分かれば、対応策が見えてくる場合も多いです。

3つ目は、ストレスの発散方法と相談先を確保すること、です。
HSPやASDの症状を持っていない方に比べると、毎日がとてもストレスフルな事だと思います。
ストレスは、これくらいなら、時間が無いから、と向きあわないでいると、ご自身の中に澱の様に溜まってゆきます。
その前に、毎日5分でもいいので、ご自身が心からくつろげる時間を設けて下さい。
お風呂にゆっくりつかる、趣味の時間を少しでもとる、等、些細な事でも構いません。
ご自身の心身を大切にする、そんな時間を確保して下さいね。

相談先は、信頼できる仲間や友人、各市町村窓口、カウンセラーなど、誰でも構いません。
あなたの特性をありのままに認めて、無条件に受け入れ、共感してくれる人を選んでくださいね。

まとめ

HSPさんとASDさんについて、主に

同じところ、異なるところ、混在する事はあるのか。
どうすれば生きやすくなるのか?と見てきましたね。

・同じところは・・・対人関係や環境の変化が苦手。五感の間隔が鋭い
・異なるところは・・・①HSPは「気質」でASDは「障害」(病院で診断がつく)
           ②その場の空気(雰囲気)や他人の気持ちを察するのが得意か否か
・HSPとASDが混在する事は、あり得る。

でしたね。

また、生きやすくなるために必要なのは

①周囲の人の理解
②ご自身での理解
③ストレスの発散方法と相談先の確保

でした。

長い記事でしたが、皆様のお役に立てば幸いです。

自分のケースはどうなのか、ゆっくり話を聞いてほしい。
自分の生きづらさに向かい合い、より自分らしく生きられる日々を手に入れたい。
そんな方は、どうぞお気軽にカウンセリングにお申込み下さい。

ネットや本での勉強も為になりますが、あなたご自身の悩みはあなた特有のものです。
お1人お1人にあった状態は、万人向けのネット記事や書籍では把握しきれないこともあります。
ご自身の悩みの解決に向けて、一緒に歩んでみませんか?

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